純血人生 7





昨夜はリヴァイの意味不明な行動から一緒に寝ることとなり寝心地が最悪であった。

常識的に考えても一人用のベッドに二人は狭い。一応遠慮の心を持ち合わせているので、リヴァイに狭い思いをさせては申し訳ないと寝返りを打てば落ちるであろう位置まで端により寝ていたわけだ。……が、リヴァイときたら中央で堂々と寝るものだから腹立たしいのなんのである。
(少しは端によれ!!)
更には早く寝ろと軽く足を蹴られ怒りのあまり体が震え立ち、その震えを寒さで震えているのだと勘違いをされ腕を伸ばしてくるなり人の体をむやみやたらにこすり出す事態が発生。あまりにも気持ち悪い手つきに違った寒気が全身をかけめぐる始末である。即座に両手足でリヴァイの体を向こうへ向こうへ必死に押しやった。途中、遠慮するな、との声がかかり、いやいや寒くないから、そう言い返したものの逃れることはできず。
意味不明な攻防戦から約一時間後、ようやく眠りに……いや、眠るというより疲れきって意識を手放したというべきだろう。

明け方、体がもぞもぞと何かに締め付けられる感覚に浅い眠りから覚め、薄くしか開かぬ目で布団の中をのぞけば誰かの手足が私の体に巻き付いていた。あわてて真正面にある顔を見ると、それはそれは気持ちよさそうに眠る寝顔とご対面。
――完全に抱き枕にされている。
この体勢のままリヴァイが目を覚ましたら妙な空気が流れるのではないだろうか。どう反応するのか楽しみでもあるけれど、それ以上に気まずくなる想像が簡単につく。もしものことを考え、そっと手足をほどきベッドから這い出た。
寒さのあまり隣に設置されている自分のベッドへと勢い良くもぐり込む。冷え切った布団の中で、これでもかというほど手足をこすり合わせた。
ほんのりと温もってきた頃、何気なく窓の外に目をやり壁を見つめる。夜の闇に溶け込む壁は巨人の姿を鮮明に思い浮かばせた。今日は壁外調査が行われる日だ、数時間後には調査兵団が壁外へと進出する。
ああ、朝なんてこなければいいのに。
窓からリヴァイへと視線を移し、再びまぶたを閉じた。

早朝、目を覚ますとベッドの脇にリヴァイが座りこちらを見下ろしていた。既に着替えた服の上から立体機動装置の固定ベルトが装着されており、その姿を見て飛び起きる。

「ごめん、ゆっくり寝すぎた!もう出る時間?」

「こっちのベッドで寝てる理由を言え」

「……は?」

「昨夜は俺のベッドで寝たはずだ」

寝起きの頭では質問された意味がすぐに理解できず数秒後に、ああ、そのことか!とひらめいた。
正直に言っていいものか戸惑ったけれど、つい先日隠しごとはしないと約束したところだ。ここは正直に言うべきなのだろう。
リヴァイの手足が私の体に巻き付いてきたから離れたの、と苦笑いをしながら告げれば少々驚くような表情をしたのちに、じわじわと不機嫌なオーラをまき散らし始める。
……あれ、え、いやいやいや正直に言っただけなのに、矛盾してない!?

「てめぇ……」

「や、待って、おかしい!おかしいでしょ!どうして不機嫌になるの!?」

もしあの体勢でリヴァイが目を覚ましたら気まずくなるんじゃないかと考えた上で自分のベッドに戻ったの!と言葉を足すが、こちらを睨む眼光は鋭くなるばかりで、まるで聞く耳を持たない。
しばらく無言の間が続いていると外から鐘の音が鳴り響いた。今日の鐘は壁外調査へ出向く前の集合の合図だ。その鐘が鳴ったにも関わらず、リヴァイは動こうとしない。おそるおそる、あの……鐘が、と声をかけてみれば舌打ちで返事をされ部屋から出て行った。
まさに意味不明だ!
一応不機嫌にさせてしまった理由を考えてみる。何がいけなかったというのか、あのまま抱き枕になっていれば良かった?などと首をかしげていると、閉められたはずの扉が開きリヴァイが部屋へと戻ってきた。怒りのあまり戻ってきたのかと背筋を伸ばす私になど見向きもせず、調査兵団の紋章が縫い付けられたマントを手に取り再び出て行った。
……ああ、壁外調査でマントは必須だもんね。
扉が閉められたと同時に声を押さえ笑いころげた。他に忘れ物はないですか、なんて閉められた扉を見つめながらつぶやいてみる。もう一度扉が開くことを期待したが、空振りに終わった。

妙に虚しくなり、再び布団の中へもぐりこんだ。静かな空間でリヴァイが扉から出て行く姿を思い出していると、ハッとする。
壁外調査だというのにいってらっしゃいの一言も言わずに見送ってしまった。
考えるよりも先に、気付けば体が動いていたので自分でも驚くしかない。寝巻の上に上着を羽織るなり部屋を飛び出し、兵舎の中央に位置する場所へかけつけた。ちょうど集合した兵士が整列しエルヴィンが大声で言葉をかけている最中であった。誰もが背筋を伸ばし、エルヴィンの言葉を真剣に聞いている。あまりの張りつめた空気に近寄れず立ち止まってしまった。壁外調査へと進出する精鋭達の姿は男女問わず全員が勇ましい。最高潮に指揮が高まっているのだと素人の私でも感じ取れた。これでは声をかけるなどもっての他だ。
――そうとなれば、あそこしかない。
まるで子供が意地になるかのように兵舎をかけ出し、商人達が仕入れた商品を運ぶ上で良く使われている道へと走った。馬に乗った商人へ猛ダッシュをしながら懇願した。乗せてくれと。繰り返し同じ行動を続けていると、運良く気前のいい商人と出会い幌馬車へ乗せてもらえることとなった。向かうはトロスト区の門付近である。

トロスト区の門付近に近付くにつれ、比例するかのように人々の熱気も高まっていく。壁外調査が始まるのだと改めて実感させられた。
門付近は壁外へと遠征する調査兵団を見ようと大勢の見物客や親族が詰めかけるのだ。それは凱旋パレードさながらの賑わいに等しいだろう。調査兵団が通る道ともなると両端は押し合いになるほどで、本日の主役達が来るのを今か今かと待ちわびる状態であった。
謝罪を述べながら人の間をかいくぐり抜け、道の見える場所までもがくように進んだ。やっとの思いでたどり着き乱れた上着を整えていると大きな歓声が上がる。どうやら間に合ったようだ。
ここなら皆が調査兵団に声をかける場所だ、何の遠慮もしなくていい。一言、いってらっしゃい、と声をかけたい。相変わらず意味不明な不機嫌を発動していたリヴァイだが、今度じっくり話を聞こうじゃないか。とにかく、とにかく、無事に帰ってきてほしい。
ついに調査兵団の主力部隊が現れ、皆の歓声はヒートアップする。もっとも歓声だけではなく罵声も聞こえてきたが。馬にまたがり背筋を伸ばすエルヴィンは歓声など聞こえないかのようにただ真っすぐと壁を見つめ門へと向かって行った。
数秒後、リヴァイ兵士長だ!との声に背伸びをしてその姿を探す。意外にもあっさりと見つけ、思い切りいってらっしゃい!と叫んだ。偶然なのか、一瞬目が合ったもののすぐにそらされてしまう。
おいおい、いつも目をそらすなと言い張るのはどこの誰でしたかね。

――その直後である。

「リヴァイ兵士長って……小柄だな」などとつぶやく声が真後ろから聞こえた途端、リヴァイは睨みつぶすかのような表情をカッとこちらへ向けては通り過ぎて行った。真後ろで命知らずな暴言を吐いた人物と小さな悲鳴が重なる。今の睨みは私へ!?それとも後ろの人へ!?

「エレン!ダメじゃないか、兵士長こっちを睨んでたよ!?」

「地獄耳かよ。でもさ、アルミンも思わなかったか?」

「エレンの言う通り。チビだった」

「ミカサまで!」

さり気なく後ろを振り返れば、訓練兵の兵服を来た三人があれやこれやと言い合っていた。問題の発言をしたのは声からして黒髪の少年だと判明。今更笑いが込み上げ頬をゆるませていると少年と目が合い一応頭を下げておいた。命知らずでもいつかは兵士として活躍する卵だからね。
歓声をあびた調査兵団が門前に集結するなり轟音と共に門が開き始める。エルヴィンが先頭に立ち門をくぐれば、それに続き全兵が壁外へと出立した。そして即座に閉門される。
いってらしゃい、早く帰ってきてね。今日ばかりは天に祈るような気持ちである。

閉門されてから間もなくして賑やかな余韻を残しながらも徐々に早朝独特の静けさを取り戻し始めた。
ここで帰りを待ちたい気持ちもあるけれど、そういうわけにもいかない。しかし歩き出そうとする手前、よくよく今の状況を考えると最悪な事に気付かされる。あわてて兵舎を飛び出てきた為、無一文な上に寝巻姿。行きは金など要求されなかったが、帰りもそう上手く行くだろうか。後先考えず思いつくがままに行動してしまった自分にゾッとする。無謀にもほどがある。
うんうん考えていれば、背後より「うわ!」という素っ頓狂な声が聞こえたと同時に体当たりするかのごとく全身を突かれ手をつく余裕もなく顔から地面へと倒れ込んでしまった。
突然の激痛にぬぉぉぉぉぉ!!と声にならぬ悲鳴を上げ頭を抱え込むと、私に覆いかぶさる誰かがあわてて体を起こし声をかけてきた。
薄く目を開ければ、先ほどの暴言を吐いた少年が必死に謝罪してくるものでハテナが浮かぶ。今の一瞬で何が起きたというのか。

「……おいアルミン、急に押すなよ!」

「ええ!?僕何もしてないよ!」

「じゃあミカサか!?」

「私も違う。エレンが勝手に転んだだけ」

「そんなわけないだろ。アルミン、オレはお前に押されたんだ」

「だから僕は押してないってば」

「いいや、押した」

「どうして信じてくれな……」

押しただろ

「……押し……押したかも、しれない」

恐ろしくも無理にこじつけるような会話が上から聞こえてきた。おそらく先ほど後ろにいた訓練兵に違いない。
黒髪の少年は倒れ込んでいる私の上半身を丁寧に起こすなり、血が!と焦り出した。打った衝撃で麻痺しているのか頭部が全体的に痛むので、どこから血が出ているのか分からない。何となく手で額を触ってみればぬるりとした感触に、しまった、と声をもらす。ケガをしたことに対してではなく、血を触ってしまったことにだ。ああ、嫌気が差す。血はべたつく液体なのだと子供の頃に覚えた記憶が簡単によみがえってしまう。
すると黒髪の少年が私の手を鷲掴み、ズボンの中へ入れているシャツを引っ張り出してはフキンで包むかのように拭いてくれた。その行動に目を丸くするしかない。

「何してるの!衣服で血を拭くなんてダメでしょ!血がシミになるの知ってる!?」

「知ってます!オレのせいでこうなったんだ、気にすることありません」

仕舞いには額から流れる血までも服の袖で拭こうとしてきたので即座に遠慮した。自分の血で人の服を汚すなどあってはならぬことだ。
立てますか、そう声をかけられたので元気そのものだ!と伝わるよう勢いよく立ち上がる。実際、強打したぐらいではどうってことない。放っておけば癒えるわけだし、今は壁外にいる誰かさんのおかげで痛みには慣れている。
少年の後ろでは二人の訓練兵が汗を浮かばせこちらを見下ろしていたので、ごめんねと謝罪しておいた。この状況、巻き込まれたはずなのに罪悪感が湧くばかりだ。
「オレはこの人のケガを処置してから固定砲の整備に行く。二人も自分の任務へ行ってくれ」そう二人に言い放つと、少年は私の肩を支えゆっくりと歩き出した。誘導されるがまま、その場を離れることとなった。

一人で十分立てるというのに肩を支えてくるものだから、他人が見るとまるで介護されているかのような有様だろう。まさかこの歳でこのような気分になるとは、だ。
門付近から少し離れた建物の日陰に座らされた。ここで待っていてください、そう告げるなり近くで商売をする商人に話しかけては小さな樽を受け取り、小走りでこちらへと戻ってくる。いくらか金を渡したのだと簡単に想像がついた。

「お待たせしました!この水で額を洗ってください」

「いやいやもったいない!ケガなんて平気だから。君が水を飲んで。気にかけてくれてありがとう」

「は?何言ってるんですか。早く傷口を洗わないと!」

「こんなの大丈夫だよ」

「洗ってくださいって!」

さっさと洗えよ!と本人を目の前にしてあまりにも素直な発言してきたもので少年の将来が心配になった。ただ正直な気持ちをそのまま言葉にしているだけなのだろうけれど。
しばらく言い合っていたが少年は疲れてきたのか私の隣へ腰を下ろし、樽の中に入っている水を一口飲んでは愚痴をこぼした。頑固な人だな、って。
金を出して手に入れた水で血を洗い流すなど、とんでもない。血も固まりかけているし、部屋へ帰ったらいくらでも処置できるのだから。

「ありがとう。君って言葉は少し乱暴だけど、根は優しい良い子なんだろうね」

「オレが優しい?」

「うん、良く周りの人達から言われない?」

「全く言われません。むしろ、すぐ感情的になる方なんで」

「へえ、そうなんだ」

「さっきだって、わざと転んだふりをしてお姉さんを突き倒したし」

「……はい?」

「そのせいでケガさせてしまったので、水を買ってきたんだ。それなのに」

この子今なんと言った?わざと転んだふりをしたと聞こえたが。更に私を突き倒したとも聞こえた。途端ふつふつと怒りが湧き始めてしまう。
訓練兵ともあろう者がそのような行為をして簡単に許されるとでも思っているのだろうか。第一、何の為に。任務をさぼる為の口実などと言い出したら水を奪い上げて頭からぶっかけてやる。

「どうして、わざとあんなことしたの」

「言いたくないです」

「だめ、きちんと話して」

「言いません」

頑固なのはどっちだ!理由も聞かず許せるわけがない。
とはいえ、曖昧な理由であのような行為をしたのではないと雰囲気で感じ取れた。顔をうつむかせ、膝の上には固く握られた拳が小刻みに震えている。自分を責めているのか、私が怒っていることに焦っているのか、少なからず反省している様子がひしひしと伝わってくる。
何とも言えない空気に溜め息をつき、色白の肌がむき出しになっている耳をつまんでやった。

「いっ!何するんですか!耳を……」

こっちに顔を向けてきたかと思えば固まったかのように無表情になり次の瞬間、目頭に涙がぶわっとあふれる。再び顔をうつむかせ袖を目にこすりつけては涙を拭き取り出した。
(へ!?泣いて……ぇえええ、どうしよう、どうしよう、どうしよう、子供を泣かせてしまった!)
そこまで力強く引っ張ったつもりはないのだけれど、少年にすれば痛かったのかもしれない。どう考えても私が悪いだろう。
何度も謝罪し、もう理由を話してくれなくても許すから、そう声をかけても簡単に泣きやんではくれない。
謝罪を続け背中をさすってやると「もっと引っ張って、耳、引っ張ってください」などと予想外な発言をしてきたものだから次は私が固まる番であった。

「い、痛かったんでしょ?もう引っ張らないよ、ごめんね、大丈夫?」

「違う、痛くなんかない。……ただ、なつかしくて」

「なつかしい?何が」

「いえ、何でも無いです。急に泣いてすみません、忘れてください」

「どうして隠そうとするの、そこまで言ったら言おうよ」

「絶対言いません」

頑固にもほどがあるぞ少年。ああ、このまま話を続けていても同じ返答の繰り返しだろう。
再び溜め息を吐き壁を見上げると、輝く太陽が昇り始めるのを見て我に返った。調査兵団が壁外調査へ行ったからと行って自分の日常が変わるわけではない。いつも通り仕事があるというのに……完全に遅刻だ。これはゆっくりなどしていられない、早く帰らないと!
「仕事があるのでそろそろ失礼してもいいかな」そう声をかけてみるものの、「もう行くんですか!?」と大きな目を見開いてくるもので、その場から立ち上がることに躊躇してしまう。

「もう少しだけ」

「あの、仕事が」

「髪……寝ぐせついてます」

「え、ああこれ、あわてて出て来たから。ボサボサだよね」

「何を使って髪を洗ってるんですか」

「は?」

「あの人の髪の香りなんて覚えてないのに、さっき突き倒した時にお姉さんの髪の香りをかいで、それさえもなつかしいと思えて」

またこの子は急に何てことを言い出すのだ。あの人、とは誰だ。
更には、オレも同じ香りをつけたい、などとつぶやき頭の中のハテナが激増した。
髪の香りなんて意識したこともないけれど、この香りをなつかしいと思うのならリヴァイも同じ香りだと教えてやりたいところでもある。
耳を引っ張られて泣き出し、髪の香りをなつかしみ、まさか初恋の相手と私を重ねているとでもいうのか。まあ、それならそれで少年の心が少しでも癒えたのなら良しとしよう。
すると、何を思ったのか突然その場から勢い良く立ち上がり「仕事があるんですよね、送ります!」と私の腕を引きトロスト区に駐在する訓練兵団の上官の元まで連れて行かれた。寝巻姿で額にケガをする私を見るなり上官は目を細め何事かと低い声で問う。
何故に上官!?
あわてふためく私をよそに、オレの不注意でケガをさせてしまいました!と上官へはっきりと告げ、反省の意を述べた。
その後、兵団専用の幌馬車に乗るよう上官からの指示があり、調査兵団の兵舎近くまで送ってもらえることとなったわけだが。

「申し訳ありませんでした」

「そんな、頭を上げて!なんていうか、少し不思議な出会いだったけど、これも何かの縁だよね」

「縁……はい、オレもそう思います!あ、このあと壁上で固定砲整備の任務があるので、ここでお別れです」

壁上と聞き、あの螺旋階段が思い浮かんでは足が重くなった。
無意識に足をさすっていると幌馬車に繋がれた馬が声を上げた。出発である。

「あの!オレの名前、エレンです!エレン・イェーガーです、覚えておいてください!」

「分かった、私は!任務、頑張ってね」

最後に血液で汚れた服をなるべく早く洗うよう促している所で、幌馬車は走り出した。
結局は何が理由で突き倒されたのか分からず仕舞いであったが、今更考えても仕方がない。
エレン、あの少年に何がしら思いつめるような過去があるということだけは理解できた。
――さあ、帰ったら仕事へ走らないと、だ。







幌馬車が見えなくなるまで見届け、空を仰いでみる。
(……母さんに、似ていた)
兵士長がこちらを睨みつけた後、前にいたあの人がオレ達三人を見てほくそ笑む表情が脳裏にこびりついている。
間近で見たら全然似ていなかったけれど、母さんを若くしたらあんな感じなのかと想像が膨らんで仕方がない。
オレが巨人を駆逐すると意思を固めたのは、目の前で母さんを食い殺されたあの時だ。
今まで駆逐する一心で突き進んできたというのに、再びあの笑顔を見れるとは思ってもいなかった。
別れる際に住んでいる地名を聞こうとしたが、やめた。少なからず甘えてしまいそうな自分が怖い。
頑張っていれば、きっとまたあの笑顔に会える。

引っ張られた耳を必要以上に触り、壁上へと向かった。







*NEXT*






-あとがき-
第七話でした!ついにエレン登場しましたー!マザ☆コン!
先に報告しておきます。これからエレンがどういう感情をぶつけてくるかと申しますと、一言で言うなら異常です。少々ですが。
母親とかぶせる時点で既に危険ですかね……。笑 すみません!
時間軸としましては、この後壁上へ行ったエレンは超大型巨人と接触することとなります。

次回は、少しばかり正直な気持ちをぶつける回です。