純血人生 9





疲れた、今はこの一言に限る。

エルヴィンやリヴァイを筆頭に調査兵団の何名かがウォール・シーナの内地へ行ってから四日が経過した。その間非常に大変であり、特に今日という日は生涯忘れないだろう。
今朝、避難民の対応をしていた者達の半分が招集をかけられ、兵士の人手があまりにも足りないとのことで遺体の回収作業に派遣されたのだ。
やむを得ない状況から皆不安を残すまま幌馬車へと乗り込みトロスト区へ向かったわけなのだが。
現地へ到着するなり口元を覆う為の布と肘まで届く手袋を手渡される。感染病対策の一つらしい。全員がそれを装着したところで回収する現場へと案内された。
現場は吐き気を起こす悪臭に始まり、この世の終わりであるかのような光景が広がっていた。それに加え、地へひれ伏す遺体は全員兵士である。
綺麗な遺体など一体もいない。必ず体のどこかが破損している。子供達が遊ぶ玉のように頭や手足もころがっていた。
派遣された我々は兵士と違い、言わば一般人だ。私は巨人を二度見ているが、見たことの無い者が大半であり、この悲惨な現場がどのようにして起こりえたのか想像もつかないでいる。体の一部分を喰われたのか、もぎ取られたのか、殴られたのか、何故このような遺体となってしまったのか。
混乱するかのごとく立ちすくんでいると、「俺の仲間達です。どうか、優しく運んであげてください」そう駐屯兵団の兵士が声をかけてきた。
恐怖と衝撃から地へ崩れ落ちる者もいたが、その言葉一つで不思議と全員の気が引き締まる。とはいえ、あまりの無残な慣れ果てに直視することはできず、恐る恐る回収を開始した。
しばらくすると遺体を火葬する準備をするよう指示が出され、その場を去ることとなる。

夜も深くなる頃には火葬も終え、休む間もなく幌馬車へと詰め込まれては避難民の元へと戻された。
そして深夜である今、やっと調査兵団の兵舎へ帰って来た。
疲れた、という言葉を口にするのはあまり好きではないが、今日ばかりは本当に疲れた、この一言しか出てこない。
そういえば朝にコップ一杯の水を飲んだきり何も口にしていないのに、全く空腹を感じない。まあ、あの現場を見た後で食事をする気にもならないけれど。むしろ早く風呂へ入りたい。火葬の際に浴びた灰や煙が体中に染みついている。リヴァイがいたら何て言われるだろう、ふとあの不機嫌な顔が思い浮かんできては一人という現実に陥れられる。
――今頃、何してるのかな。
顔をうつむかせ暗い廊下を歩いていると、階段に続く角を曲がった先に誰かがいた。壁に背中を預け腕を組むその人は私の顔を見るなり、やっと帰って来たか、と目を細め笑顔を向けてくる。

「遅くまでご苦労だな。大丈夫か、疲れた顔して」

「エルヴィン……!いつ帰って来たの」

「数時間前にな。ハンジとミケ、他の兵士達も帰って来たぞ。リヴァイはそのまま任務へ向かったが」

数日会えないと確信していた一人が目の前にいる事実に、少なからず感動の再会気分である。たかが四日ぶりだけれど。
ウォール・シーナの内地へ調査兵団の主力である四人が揃って出向いたのだから、何かとてつもない事態が発生していることは明らかであった。
先日、巨人に破壊された壁を巨人が塞いだ、とリヴァイは言っていた。その件に関した事柄なのだろう。
壁外調査から帰ってくるなりこの騒動だ。エルヴィンも表情は笑顔を絶やさないが、疲労し切っているに違いない。

「エルヴィン、ご飯は食べた?」

「いいや、まだ何も食べてない」

「なら何か作るよ。食堂へ行こう」

「聞き返すようだが、は腹減ってるか?」

こちらへ足を進めながら、減ってるよな?腹減ってるだろ?などと聞いてくる。何故か押しつけるような言い方で攻め寄って来るので、とりあえず首を縦に振っておいた。私の返事に満足したのか、よし!と小さく意気込む姿から嫌な気しかしなかったわけだが。
結局は食堂へと連れて行かれ中へ入ると、一つのテーブルにランプが点いてた。そのテーブルへ並ぶのは三種類の料理達だ。
これ……、そう声を漏らす私の頭を撫でては、「味はいけると思うぞ」なんて気恥ずかしそうに言ってくる。

「エルヴィンが作ったの?調理したの!?」

「ああ、料理を作るなんて何年ぶりだかなあ。団長の位についてからは初めてかもしれん」

「うわ、想像できない」

「口に合わないなら残してくれていいからな。俺が食べる」

「とんでもないよ、嬉しい……ありがとうございます」

お互い向き合うよう椅子へと腰掛け、料理を食べ始めた。
スープは冷え切り、野菜炒めは何故か黒く、魚なのか何なのか良く分からない三品は、エルヴィンが調理したというだけでとても美味しく感じた。
本人は小声で、不味い、と何度かつぶやいていたけれど。

「味見した時はなかなか美味かったのに」

「もう今は何でも美味しい!エルヴィンが食べないなら私が食べるよ」

水と料理を交互に口へ運ぶエルヴィンに声をかければ、眉を八の字にしては野菜炒めを皿ごと押し渡してきた。その仕草が可笑しくて、大笑いしてしまう。
エルヴィンはどこまでも優しい人だ。意味の分からない行動を取る時も、結局は人のことを考えて行動していたのだと後で気付かされることが今までに多々あった。今回もそう、疲れているだろうに三品も調理してくれるなんて。
(とはいえ厨房に立つ姿も見てみたかった)

次第に会話はトロスト区の話題へと切り替わっていく。
やはり巨人に破壊された壁を、巨人が塞いだ話は事実らしい。破壊された部分は岩で塞いだのだと言う。世の中は常に奇妙である。人類に味方する巨人など、それこそ一種の革命ではないのか。

「あの日は激動だった。壁外へ行ってからというもの、壁の方へ巨人が進撃し始めてな」

「それにしたって調査兵団が不在の時に攻めて来るタイミングの悪さよ。巨人って考える頭脳を持ってるの?まるでその日を狙ってたように思えて」

「ああ、俺もそう思う。偶然ではない何かが……あるだろうな」

先ほどとは打って変わって難しい表情をするエルヴィンだが、思い出したかのようにリヴァイの名前を出しては苦笑し始めた。

「リヴァイときたら、壁へ進撃する巨人を片っ端から討伐してな。いつも以上の活躍だったぞ」

「へえ、すごい。さすが兵士の長なだけあるね」

「討伐しながら俺の横へ馬をつけて来た時に、あいつは鈍臭いんだ、と言っていた」

「あいつはドンクサイ?」

「確実にのことだろうな」

「今さらっと言ってくれたね……心にグサっときたよ」

「悪い悪い。あの潔癖なリヴァイが返り血を拭かずに浴び続けていたんだ。心配で仕方なかったんだろう」

壁外で壁内の人間を心配するなんて、エルヴィンの話しを聞き改めてお互いの無事を願っていたことを実感する。
今度リヴァイに会えた時、さり気なくお礼を言ってみようかな。ただ、ドンクサイは余計だが。
そこに「お、エルヴィンとだ!」そう元気な声が食堂に響きわたり、誰かが小走りでこちらへと駆け寄って来た。

「なになに、今頃夜ご飯!?」

料理を指差し、うわあ不味そうな料理!などと腹を抱えながら笑うのはハンジさんである。
ハンジさんの登場に心が躍った。ハンジさんは、私が兵舎へ連れてこられた頃からエルヴィンと同様に心の支えでもある人物だ。
孤独であった私に会いにきてくれて、会話をして、たまに紅茶をご馳走……してくれたけど、眠たくなる薬が数回入っていたような。
何であれ、楽しい時間を与えてくれた大切な人である。

「私の帰りが遅くなってしまって、今ご飯なの。ハンジさんこそ、こんな深夜にどうしたの?もしかしてお腹空いた?」

「そっか、遅くまでお疲れさま。私は巨人のことを考えてたら興奮しちゃってさ、眠れなくて散歩してたんだ。そしたら明かりが見えてランプの消し忘れかと思ってね」

「あの、いつも思うけど、巨人の何に興奮するの」

「存在自体ぜーんぶ。それに今ねソニーとビーンが私を夢中にさせるんだ!ああ、愛くるしい奴らだよ、ほんとさあ!」

ソニーとビーンって、誰。
私が首をかしげていると、先日トロスト区で捕らえた二体の巨人だとエルヴィンが教えてくれた。その二体で様々な実験をしているとのことである。
突然ハンジさんは声高らかに、聞いてよ!ソニーとビーンは恥ずかしがり屋なんだ!と頬を染め叫び出すものだから、本当に興奮しているのだと思い知らされた。

「ハンジ、感情を抑えろ。が驚いてるぞ」

「はは!ごめんごめん。それで、二人は何の会話をしてたの?」

「リヴァイが壁外での心配をしていたことを教えていた所でな」

「ああ、あの時は巨人が可哀相な勢いだったよね。が心配でたまらなかったんだろうけど」

ハンジさんは話を続けながら私の背後へ回り込み、両肩を二度叩き手を添えてきた。
すると耳元で、リヴァイはねに肩揉みされると興奮するらしいよ、とささやかれ様々な意味で鳥肌が立つ。リヴァイはハンジさんに一体何の話をしているのだ。
直後、「ん、から灰の臭いがする」と鼻を鳴らすように臭いをかがれ、どうしたのかと理由を求められた。
今日は遺体回収に派遣され火葬の手伝いをしたと答えれば、前にいたエルヴィンが目を見開き一瞬場が静まり返る。ハンジさんは添えていた手に力を加え肩を強く掴んできた。
「どうして兵士の仕事をがしてるのさ」そう低い声で問われたので、人手が足りていなかったらしい、と上官に言われた事実をそのまま告げる。しかし納得いかないとでも言うかのごとく表情を曇らせ食堂から出て行ってしまった。私、ハンジさんを怒らせた……?言葉が足りなかったのだろうか。
あわてて後を追いかけるべく立ち上がると、エルヴィンに引きとめられる。

「ハンジは自分を責めているんだ」

「自分の何を責めるの。人手が足りなかったのはハンジさんのせいじゃ無いでしょ」

「あいつはそういう奴でな、何もかも自分のせいにしてしまう一面がある」

一般人に遺体の回収作業を手伝わせるまでの人員不足をイコールで結ぶ答えは、トロスト区で命を落とした兵士は数知れずということだ。
ゆえに巨人の研究者であるハンジさんは、巨人の行動を把握し被害を最小限で抑えられる方法があったのではないか、との考えが頭を渦巻いているに違いない、そうエルヴィンは言い切った。
なんて、後味の悪い。

「さあ、もう日付が変わって何時間だ?そろそろ部屋へ戻るか」

「……そうだね、ご馳走様でした。料理、本当にありがとう」

「あの味で礼を言われてもなあ。まあ、俺の手料理が食べたいならいつでも言ってくれ」

「当分はいいかな」

「正直だな!」

食器を洗い、食堂を出て階段を上っていると、「今夜は俺の部屋へ来ないか」と優しい笑顔で誘われた。もちろん断る理由もないので、こちらからも笑顔で返事をする。一度着替えを取りにいつもの部屋へ立ち寄り、その後エルヴィンの部屋へと向かった。
エルヴィンの部屋はドがつくほど質素である。これこそ風呂に入って寝るだけの部屋と言えるだろう。
(寝る間も惜しむほどなんだろうな)
先に風呂へ入るよう促され脱衣所へと案内された。
水を浴び汚れた体をこすれば、肌から薄黒い汁が流れ落ちていく。巨人のせいで悔いの残る死を迎えた兵士達の灰だ。
頭を洗う際まぶたを閉じるだけであの現場が思い返されては、火葬の映像に切り替わり、再び頭部の無い兵士が現われ、涙を流した痕跡を残す女性兵の顔、衝撃であった全てが脳裏をよぎって仕方ない。さっさと洗い終え風呂を出た。
お先でした、とベッドに腰掛ける後ろ姿に声をかければ、私を見るなり驚く表情を向けては慌てて前を向き直した。

「寝巻は、寝巻はどうしたんだ!」

「え……、あ」

以前、同僚とした会話を思い出す。
『寝巻まで着てから皆のいる部屋へ行くよ』
『全て着てから家族の前へ行きます』

いろいろと考えていたらすっかり忘れていた。いつものクセでつい下着姿のまま……あああ!

「ごめん!すぐ着るから!ごめんね!」

「いやいや、ゆっくり着てくれていいぞ、ゆっくりな、落ち着け」

こちらに背を向けるエルヴィンに何度も謝るが、落ち着け落ち着け、と上ずった声で繰り返すだけで返事は無かった。誰に対して落ち着けと言っているのか不明だ。
そのような愚かな騒動もありながらエルヴィンも風呂から上がり、一時間後には寝ようかと話がまとまった。
私がソファーで寝る体勢を取っていると、ベッドで寝転ぶ主から声がかかる。「おいで」と。その一言がとても嬉しくて、ベッドへと飛び込んだ。

「エルヴィンと一緒に寝るなんて、子供以来かな」

「そう考えると良くここまで成長したもんだ」

「ほんと、おかげさまで」

「……何も怖く無いからな」

「え」

「俺は初めて遺体を見た日、恐ろしくて眠れなかったんだ」

「そうなんだ」

「でも、それ以上に翌日の寝不足が最悪でな。寝れば良かったと後悔したぞ」

声を抑えて笑い合っていると両手を包み込むかのように握られ、エルヴィンの温かさが直に伝わってくる。
これなら良い夢は見れなくとも、何とか眠れそうだ。
本当に、エルヴィンは優しい人である。





翌朝、顔を洗っていると既に兵服に着替えたエルヴィンから指示を出されることとなる。
「今日は避難民の対応ではなく、兵舎の地下牢を掃除してくれ」そう告げられ、少なからず焦った。もちろんエルヴィンの指示なら何であろうと従いたいところだが、避難民を放っておくわけにもいかない。食料配給の当番もあるのだ。

「地下牢の掃除は帰ってきてからじゃ駄目かな」

「既にの上官にも許可を取ってきた。緊急な事態ゆえと」

「地下牢の掃除が緊急事態?」

「ああ。まあ、隠さず言おう。明日、調査兵団の兵舎に巨人になれる兵士が来る」

寝ぼけているのかと言い返しそうになったが、真剣な表情から冗談では無いことはすぐに理解した。
「巨人によって破壊された壁穴を、巨人によって塞がれた。その塞いだ者が来るんだ」とも聞かされ、唖然とするしかなかった。
味方の巨人だとウワサだっているその人は、巨人でもあり人間でもある?小さくも大きくも自由自在になれると?残念ながら私の頭では良く分からない。
とりあえず、巨人になれる素質を持つほどに凶暴な人なのだろう。地下牢行きは当然か。

エルヴィンの部屋を出ては掃除用具を一式そろえ、地下牢へと向かった。
階段を一番下まで下り地下牢へ続く扉を開けると、兵服を着た者が一人そこにいた。私の姿を見るなり駆け寄ってきては両手一杯に持って来た掃除用具一式を奪い上げられる。
「持ちます。団長からさんと掃除をするよう指示がありまして」そう声をかけてきたのは、ナナバさんだ。
突然だが、発表をしよう。ナナバさんは調査兵団の中でも人気のある兵士第一位である。老若男女問わず誰に対しても優しいゆえ、それはもう人気も人気、大人気だ。陰では同性にまで告白されたこともあるらしく、ナナバさんの人気度は計り知れない。

「何からすれば良いですか、指示を出してください」

「それじゃあ、床の掃除からお願いできますか」

「まかせてください」

樽へ汲んできた水とタワシで床の掃除を始めるナナバさん。
あれ、何だろう、何故か罪悪感が湧いてくる。人気者が床に膝を付いて、そんな四つん這いの姿で掃除をするなんて……。思わず床の掃除と口走ってしまったが、駄目だ、見ていられない。
ナナバさんからタワシを奪い取り、ベッドにシーツを張ってください!そうお願いをした。
ああ、心臓に悪い。少しでも汚れない楽な掃除をしてもらおう。
さっそく渡されたシーツを広げるナナバさん。それはそれはシワの一つもないほどに丁寧に張っていくもので思わず見とれてしまった。

「ご丁寧ですね」

「それはもう、世間にどう言われようと、ここに来るのは仲間ですからね。少しでも良い気分で過ごしてもらいたい」

調査兵団に天使がいる。
巨人化する云々の事実よりも、仲間として迎え入れるこの心意気。心の豊かさが輝かしい。
昨日はエルヴィン、今日はナナバさん、心優しい二人と時間を共にできて幸せだ。
それからというもの、不謹慎ながらまるで友達同士のように会話が盛り上がり様々な話をした。
人気があるにも関わらず誰とも親密な関係にならないことも有名で、それは何故か聞いてみると意外な答えが返ってくる。

「確かに想いを告げられることは何度もありましたが、その気持ちに答えてしまうと申し訳ないので」

「どうしてですか?申し訳ないだなんて」

「腹の中は真っ黒なんです」

「はい?」

「憎しみの塊みたいな人間なんですよ、私」

そんな奴を恋人にするのは嫌でしょう、と笑顔で言われ究極に困る展開となる。
確かに調査兵団に入団するだけでも何がしら覚悟があってのことだろうけれど……。ナナバさんにも人には言えぬ過去があるというわけか。
気軽に聞いて良い質問ではなかったと今更ながらに反省である。少なからず過去の映像を思い出させてしまっただろう。
「もう、もう、ごめんなさい!」床に頭をつけて謝罪をすれば、逆に驚かせてしまったようで更に反省する始末だ。しかし、そんな私を見て笑うナナバさんの笑顔はとても柔らかく綺麗で。心の奥底は真っ白なんだろうな、素直にそう思えた。
憎しみがあふれるほどに優しい人なのだろう。

数時間後、ナナバさんと私の趣味で鉄格子さえなければ快適に過ごせる部屋にまで掃除を仕上げた。
任務を控えているナナバさんは一足先に地上へと戻り、今は一人でベッドの枠を拭いている。それにしても地下牢とはいえ、しばらく使われた痕跡がないゆえにホコリまみれであった。これからは時折に掃除しないとな、そう溜め息をつきながら後ろへ一歩下がれば何かが足に当たり金属の音が鳴る。床を見てみると腕輪が転がっていた。天井から繋がれる頑丈な鎖、その先についている鋼鉄の腕輪、いわゆる悪人を縛り付ける拘束具だ。先ほど床掃除をした際、ベッドの上へ置いたはずなのに。また下へ転がってしまったのか。
ここへ来る兵士もこの重い腕輪をはめられるのだろうか。それはそれで少し可哀相だな。
何となく自分の腕にはめてみると、カチッと音がした。
――ん?
今カチッて……あ……あ、あ、あ、腕、抜けない、抜けない、え!?

(しまったあああ!!!)





*NEXT*




-あとがき-
ナナバさん初登場です!
ナナバさんは誰からも愛されている気がしまして、勝手に調査兵団人気度第一位にしました。申し訳ありません。

次回は、誰かが地下牢へ来るわけですが……想像できちゃいますよね。
エレン、再登場です。