弟が青葉城西へ行こうと呪いのように念をかけてきたのは中学三年生を目前とした春休みのことだった。
家族も、二人が同じ高校へ行くなら何かと安心だ、なんて言い出すもので、気付けば青葉城西へ受験するのが当然という流れになっていた。
私立青葉城西高校。ある程度の偏差値を叩きだす強者が受ける学校である。その辺、私はというとそりゃあもう必死も必死。
黒ずんだ愛用のシャーペンを持ち、消しかすを手の側面でうん万回掃いながら頭をフル回転させる受験勉強の一年。
受験の結果、見事合格した。青葉城西を受験しようと言い出した弟も合格した。
そう、私たちは同じ姓をを持つ及川双子姉弟。
春より青葉城西の生徒として、高校生活の始まりである。



熱くなれ



私たち双子は、ある決まりごとを作った。
【高校ではお互い関わりあわないこと】これだ。
双子という存在は何かと目立つので、出来る限りお互いが関わりあおうとしない意思が必要となる。
今までの経験上だと、中学時代、廊下ですれ違いざまに軽く手を振りあっただけで双子だ双子だと騒ぎたてられたことがあるほどだ。
何故か徹と関わりあうとざわつくことが多かった。こちらを見てにやにやとほくそ笑む男子に、こそこそと耳打ちする女子。
弟と話して何が悪い!こっちを見ながらこそこそするな!などと言える勇気もなく、気にしないふりをして胸が痛くなるのを誤魔化した。
はたまた、私には良い呼び名がつかない。
平凡の方、及川くんの片割れ、バレーの出来ない及川だの。加えて、全然似ていない、弟にいいところが全部片寄ってしまった、など様々なことを言われてきた。とはいえ、皆の言っていることは何も間違っていない。残酷なまでにありのままの現実を口走っているだけで。
確かに弟の徹は私の何倍も素晴らしいものを持っていると悔しいが言い切れる。
双子や兄弟という存在はある程度比べられながら生きていくしかないのだろうけれど、やはり心あるものとして辛いの一言だ。突き刺さる言葉に慣れることも無く、傷つくものは傷つく。
口では比べるなんてとんでもない、そう言っていた親戚のおばさんでさえ、何かにつけて徹を優先する行動をとってくる姿には呆れるしかなかった。
近所には徹くんにどうぞとケーキを持ってくる人までいた。
私たち双子には人間としての圧倒的な差が生まれてしまった。同じ母親から産まれ、同じ空間で育ってきたというのに、不思議だ。
そんな中で一番仲良しの友達が、あんたも大変だね、と辛い現状を豪快に笑い飛ばしてくれて心の底から救われたのを覚えている。
ただ、高校生活でも引き続きあのような思いをするのは勘弁なので、私と徹はお互いが関わりあわないように約束をしたのだ。
出来るならば双子であることも隠し通したいところだが、同じ中学の同級生もいる中でそれには無理があった。何より姓が同じという点で、あっという間に知れ渡ってしまった。
高校へ入学して間もない頃、バレーボール部の及川くんと双子なの?と何度聞かれたことだろう。だが、私も心臓に毛が生えたのか、うん、うっざい弟だよ、と言い返すまでになっていた。

一年生となり一ヵ月が過ぎた頃。その日の授業が終わり掃除当番だった私はホウキを取りに廊下へ出た。
ざわつき始める放課後の廊下、そこへ一際大きな声が響いた。「迎えに来たよー!」と聞き慣れた声。声のした方へ視線を向けると、そこには徹が立っており心臓がどきりと跳ねてしまう。だが、徹は扉から教室内の誰かへ手を振っていた。徹の登場に歓喜の声を上げる一人の女子は、あわててカバンを手に取り扉へと駆け寄る。周囲から彼氏のお迎えだと騒ぎたてられていることからハッとした。まさか、クラスメイトの女子が徹とそのような関係になっていたとは。
ホウキを持ったまま廊下で立ちつくしていると徹がこちらを見てきたので、すぐさま目をそらした。しまった、つい徹を見ていた。
今まではバレー一筋で恋だの何だのいっさい興味がなかったくせに、高校生になった途端これか。
心のどこかで今後もバレー一筋で突っ走るのだと思っていたが、どうやら徹は一歩踏み込んだらしい。
教室内に戻ると、弟もてるね、と同じ掃除当番のクラスメイトに話しかけられた。隣にいた男子は、俺もあれぐらい女子に人気あったら毎日がキラッキラしてただろうなあ、なんて言い出す始末である。何だかんだで掃除当番の皆と笑い話になり妙にざわつく胸を誤魔化すことができた。
家に彼女を連れてくるのかと聞かれた質問には、今までに一度も無いよと事実を答えておいた。
徹は男子の友達でさえ家に一度も連れてきたことがない。仲の良いバレーボール部の友達もたくさんいるだろうに、何故か徹底して連れてこないのだ。
掃除を終え、靴箱で上履きからローファーへ履き替えていると、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。女子と、徹の声だった。
ここからは見えないが、二人が笑顔で会話する様を勝手に想像してしまう。というか、何もこのようなところで話さず帰り道を歩きながら話せばいいものを。
そこへ駆け足で誰かが近づいてきたかと思えば、「及川!部活始まるぞ!顔面つぶされたくなかったら早く来いバカ!」そう荒っぽい声が響き渡った。今の声、岩泉くんだ。
相変わらず第一声から乱暴な発言をする彼は中学の頃とまったく変わっていない。少なからず安心してしまう。
彼女にまた明日と挨拶をし岩泉くんのあとを追いかける徹は、「もう岩ちゃんったら、彼女がいないからってそんなに怒らないでよー」と失礼な発言をぶっ放しながら遠ざかって行く。
そうか、徹は部活があるから一緒には帰れないゆえ、ここで会話をしていたのか。
履き替えた上履きを靴箱へ戻し校舎から出れば、数メートル前を徹の彼女が歩いていた。ただ、校門へは行かず体育館へ足を進めて……いたかと思えば校門へ向かおうとするが、またしても体育館へ向き直る。校門と体育館の間でうろうろしている彼女の横を通り過ぎると、「迷惑じゃないかな」そうつぶやく声が聞こえた。背後から遠ざかっていく駆け足の足音に、体育館へ行く決意をしたのだとわかった。おそらくだが、徹の部活が終了するまで待つつもりなのだろう。なんとも女子らしい行動じゃないか。それに、けな気だ。好きな人がいるって素晴らしい。徹の彼女があなたで良かったです、そう心でつぶやいた。

二ヶ月後、徹の彼女は一週間学校を休んだ。
先生は風邪だと言い張るが、学校中では徹と別れたショックが原因だと噂だっていた。
クラスメイトが学校を休み続けるなど純粋に心配である。しかも弟が原因となると私に対する皆の視線も冷たく感じたのだが、あんたが気にすることないよ、と優しい言葉をかけてくれる友達に心救われた。別れたとの朗報に徹へ想いを寄せていた女子は騒ぎ始める者もいれば、別れた別れたと笑い飛ばす男子。皆の反応はそれぞれだった。
それから数日後、彼女は学校へ来たのだが、痛々しいほどに目が腫れていた。前髪で目元を隠そうとする様に私の胸が痛くなり、放課後、つい声をかけてしまった。
もし徹に傷つくようなことを何かされたのなら私が謝ります、ごめんね、ごめんね、と頭を下げた。
突然の謝罪に驚いたのか、彼女は素っ頓狂な声を上げ髪を乱しながら首を何度も横に振る。
告白をしたのも、別れ話を持ちかけたのも全て自分だと、彼女は小さな声でつぶやいた。徹がどれほどバレーボールと向き合って生きているか、この二ヵ月で思い知ったらしく、自分が邪魔な存在なのではないかと考え始めたことがきっかけで別れを決意したらしい。
「ただね、あとになって後悔して泣いて泣いて涙が止まらなくなっちゃって。勝手な女で笑っちゃうよね。こっちこそごめんなさい。及川さん、声をかけてくれてありがとう」そう笑顔で告げられた。
彼女はまったく勝手なんかじゃない。徹が大切にしているものを最優先に考えてくれているじゃないか。自分の気持ちを抑え、相手の気持ちを守ったのだ。
たまらず、明日一緒にお昼ご飯を食べないかと口走ってしまった。
彼女は嬉しそうにうなずいてくれた。良かった、少し心が楽になった気がする。

夏休みにも関わらず、徹は毎日学校に行っていた。部活があるから、と。
早朝に家を出て、帰宅するのは夜の八時過ぎ。
私は友達と遊んだり、母親と買い物へ行ったり、宿題をしたり、ごく平凡な日々を過ごしていた。
ある日の夜、友達が海へ行こうと言い出し、明日皆で水着を買いに行く話となった。
それを夕食時に話題にすると、徹は持っていた箸を落とすなり私を無表情で見つめてきた。
一言、遊び用の水着なんて買ってきたら俺が切り刻んで捨ててやる、そう低い声で発言し落ちた箸をゆっくりと拾う。
それには私も両親も唖然としてしまった。
数秒だが沈黙の間となり戸惑っていると、だって俺は毎日部活で頑張ってんのにばっか遊ぶのずるい!といつもの調子で話をふってきたので少しホッとした。
とはいえ、先ほどの徹の雰囲気は少し妙であった。確かに部活ばかりでまったく遊んでいない。姉の私ばかりが夏休みを楽しんでいるのは事実だ。徹の中で黒い気持ちが生まれても何らおかしくはない。
即座に友達へ連絡し、海に行く約束を断った。徹に友達へ送ったメッセージを見せると、少し遠慮がちな笑顔で礼を言われた。
俺の気持ちを理解してくれてありがとう、と。

夏休みなどあっという間に過ぎ去り、気付けば木々が紅に色づく秋となっていた。
少し肌寒くなったとはいえ、まだまだ暑い日が多い。
暑いのが苦手な私は完全な冬服の切替になるまで夏服で登校していた。だが、十月間近にもなると昼間も気温が上がらず半そででは肌寒く感じる日が多くなってきた。
クラスメイトの友達に、そろそろ冬服にした方がいいと指摘され素直にうなずく。
ぶるっと身震いし下半身がうずいたのでお手洗いへ行くと、廊下の端から徹が遠慮がちにこちらへ手招きをしてきた。
周囲に私たちを見ている者がいないかを確認し徹の元へ行くと、朝練終わりにを見かけたとき夏服だったから風邪をひかないか心配で、そう言いながら私の肩にブレザーをかけてくれた。
ああ、あたたかい……そうじゃなくて。私が男子のブレザーを羽織っていたら目立って仕方ないじゃないか。
すぐさま羽織らされたブレザーを脱いでは徹の胸元へ押し返しその場を離れた。
優しさは嬉しいが約束を守ってほしい。お互い関わりあわないこと。

冬となり、冬服どころか上着とマフラーも装着の上で登校するようになった。息が白い。
昨年の今ごろは受験勉強の追い込みであった。
あの必死になっていた日々が一年前なのだと考えると、月日の流れは早すぎると実感してしまう。
受験、か。……先日、驚くべき事実を友達から聞かされた。
私と徹、二人共受験で合格し青葉城西へ入学したのだと信じ込んでいたのだが、実際のところ徹は推薦入学だったそうだ。
中学時代、バレーボール部での活躍からスポーツ枠で推薦がきたのだと、クラスメイトの友達に聞かされたのだ。本人でもなく両親でもなく、クラスメイトから、だ。
一緒に受験をして合格をして喜び合ったはずなのに、あれは全て徹の演技だったのかと思うと悲しくなった。
弟は姉を傷つけない為に一芝居うったのだと大体の想像はつくが、事実を話してくれても良かったのではないだろうか。両親も何故黙っていたのだろう。
双子の弟はバレーという強い強い武器がある。それに対し姉は何も持っていない。丸腰の私に両親は気遣ってくれたのかもしれない。はあ、胸が痛いなあ。
今更家族を責めたところでどうしようもないのはわかっている。だから何も言わない。この感情を抑えさえすればいつも通りだ。何事もなく日々が過ぎていく。
これ以上自分の価値を下げたくない、私の中で低レベルなプライドが発揮された。

寒い寒い冬も和らぎ、入学してから丸々一年が経った。
晴れて高校二年生。学校の周囲にたくさんの桜が咲き誇る中、初々しい一年生を迎え新たなスタートである。
二年生の始まりぐらい一緒に登校しようよ、そう徹に誘われたがきっぱりとお断りした。
確かに徹には朝練があるので一緒の時間帯に登校できるなどめずらしいのだが、私は双子が並んで歩いている光景を見られたくない。朝食をさっさと済ませ先に家を出た。
じきに追いつかれそうな気がしたので早足で歩いていると、前方に岩泉くんが歩いているのを見つけた。
横を通り過ぎる際に一応朝の挨拶をすれば、「あれ、一人か?あのうっざいのはどうした?」と声をかけられる。
徹のことだと直感で気付き、先に家を出たと伝えると苦笑いを浮かべ、「そっか」とだけ返事が返ってきた。
何気ない会話が続き靴箱まで一緒に登校し廊下で別れた。岩泉くんは昔から話しやすい。会話をするのは久々だったけど緊張などいっさいしなかった。彼は誰をも包み込む柔らかな空気をまとっているように思う。だから少し変わり者な徹とも長い付き合いなのだろう。
新しいクラスメイトは一年生のときも同じクラスだった友達が何人かいたので、すぐに打ち解けることができた。出だしはまずまずである。
始業式が終了し、新しい担任の挨拶、そしてクラスメイトの自己紹介が始まった。
自分の番が回ってくるまでの緊張に心臓を高鳴らせていると、ポケットの中で携帯が光るのを布越しにとらえた。
こっそりと確認をすると、徹からのメッセージを受信していた。
【俺と一緒に登校するのは断っておいて岩ちゃんと登校するってどういうこと?約束してたの?俺は仲間外れ?それとも邪魔って言いたいの?二人はなんなの?】とハテナだらけの文面に顔が引きつってしまう。……どうやら後ろから見ていたらしい。
偶然に会って会話をしていたら学校についてたの、と返事をしておいた。
私の返事に対し、【のバカ】などと返ってきたので【弟が姉にバカって言うなウルトラバカ】そう返しておいた。

二年生も一年生の頃とそう変わらずに過ぎていく中で、徹がバレーボール部の主将に抜擢されたと聞いた。
またしても本人から聞かず他人から聞いた事実である。主将、か。なんてかっこいい響きなのだろうとうらやましく思えた。
こればかりは自慢してもいいくらいなのに。本人は私に対して何がしらの理由からこの話題を避けているのだと考え、こちらからは言い出さなかった。
高校に入学してからは応援に来てほしいと一度も声をかけられたことがない。徹は高校でどんなバレーをしているのだろうか。
まあ、楽しくプレイしているのならそれでいい。中学三年生の梅雨頃だったか、恐ろしいほどバレーに執着していた徹を覚えている。笑顔をいっさい浮かべず見えない何かと闘っていた。あの頃のことを考えると今は楽しそうにやっているのだと思う。
試合当日は、頑張ってね、と声をかけると笑顔で、ありがとう、と元気な表情を見せてくれる。
バレーの会話は出ずとも、私はこっそりと応援している。やはり徹には活躍してほしい。弟だもの。

徹が主将になってから、バレーボール部は月曜日のみ部活が休みとなったらしい。
部員の意見を尊重し「休息」の日を作ったのだと、これは本人から聞いた。だから月曜日だけでも、いいや、月に一度だけでいいから一緒に帰ろうと誘われたが当然断った。校門の外で待ち合わせをすれば人の目に触れることも少ない、などと言い出したがやはり断った。徹は歩いているだけで目立つと自覚してほしい。双子が一緒にいるところを見られたくないと何度も言っているのに。
だが、私の気持ちは徹に通じなかったのか、次の週の月曜日のことだ。校門から少し離れた場所で徹が待っていた。
あわてて引き返し違う道で帰ろうとすれば、私に気付いたのか手を振りながら追いかけてきたので悪夢を見ているようであった。
「わあ、偶然!俺も今から帰るところでさ、一緒に帰ろうよー」などと言いながら肩を掴まれたその瞬間、軽く悲鳴を上げてしまった自分が情けない。
仕方なく隣を歩き、入学する前に交わした約束を破る気かと問えば、最近岩ちゃんに頭を殴られることが多くて物忘れが激しいんだと返事を返された。腹が立つほどに適当な言い訳だ。
高校生活の思い出は今しか作れない、だから周囲に遠慮するなんて馬鹿げていると徹が言い出し何も言い返せなかった。俺たち本当は仲良しなのに、と付け加えられ更に顔をうつむかせてしまう。
そりゃあ徹はいいよ。問題は私だ。ここで自分の低評価をさらすのも姉としての立場を崩してしまうので黙るしかない。ごめん。

高校生活二度目の夏休みも過ぎ去り、冬間近の秋のこと。
体育の授業で一ヶ月間集中的にバレーボールをすると先生から告げられた。
まずはしっかりと準備運動をし身体をあたためるところから始まる。汗が出始めたところでやっとバレーボールの練習となった。
まずはトスの練習からだ。額の斜め上で、両手で三角を作りボールを真上に上げる練習。これがなかなか難しい。中学生の頃にも何度かしたことはあるが、ボールを真上に上げることがどれほど難しいか。
奇跡的に三度続けて真上に上がったが、四度目でボールは斜めへとそれてしまい床へ落下した。周囲を見れば皆なかなか上手いことやっていたので、どきりとしてしまう。
次にレシーブの練習である。両腕を前に出し飛んできたボールを受け、次へと繋ぐ。これは一度も成功しなかった。なんて難しい。腕だけが真っ赤になってしまった。
最後はペアを組んでの練習となったが、相手に迷惑をかけるばかりで恥ずかしいのなんの。
でも、誰一人として双子の弟はバレーボール部の主将なのにね、そんな嫌味を言う人はいなかった。どんまい、と笑いながら声をかけてくれた。素晴らしいクラスメイトに恵まれたものである。
ちょうどその日、クラスメイトの一人が放課後に話しかけてきた。
何やら暗い表情をしているので体調が悪いのではないか訊ねると、「私、及川くんと付き合っててね、ちょっと悩みがあるの」などと的外れな返事を返され目を見開いてしまう。
悩みというのは、徹が必要以上に家族の話題をふってくる、というものであった。
付き合い始めて一ヵ月だと彼女は言う。その間、会話をするたびに家族はどうだ、こうだと言ってくるらしい。
特に、姉である私のことを「はもっと堂々とすればいいと思わない?思うよね?」と意味もわからない同意を何度も求められ困っているとのこと。
あの弟……!これは一度がつんと言わなくては。
夜、食事を終えたあとに徹の部屋へ直行した。ノックをしながら返事を待たずに部屋へ入れば、「ちょ、エロ本開けたところなのに、なに!?」と叫ばれ血管が破裂しそうなほど怒りが湧く。
エロ本とやらを勢いよく取り上げてやれば、それは私たちの幼稚園のアルバムであった。

「はあ、これのどこがエロ本よ」

「え、ほら、見て。この砂場で遊んでる。やばいでしょ?ぐっとくるでしょ?」

「そっか、殴られたいのね」

笑って誤魔化す徹は抱え持っていたバレーボールを天井に当たらない程度の高さで打ち上げ、トスの練習を始めた。
よくもそう簡単にボールを操れるものだ。体育の時間に姉はあれほど恥ずかしい思いをしたというのに。

「で、何か話があったんじゃないの?」

「ああ、そうそう。徹ね、今彼女いるでしょ」

「おお、よく知ってるね」

「私のクラスメイトの子だもん。その彼女に私や家族の話をしてるらしいじゃない」

「うん、してるよ」

「そういうのやめて。あのね、彼女は徹の家族じゃなくて、徹自身のことをもっと知りたいんだと思うの」

「って本人に相談されたの?」

「や、相談じゃなくて……彼女の悩みというか」

「ねえ、家族の話をして何がいけない?あの子、俺の大切な家族を悪いようにとらえてるってことだよね?」

「どうしてそうなるの!たまに家族の話題を出すならいいけど、いつもいつも話されたら困るのは当然でしょ?わからないの?」

徹は考える素振をしたが数秒でへらっと笑い、わからない、そう答えた。
更には、「わかっていないのはでしょ」などと言われて首をかしげるしかなかった。私が何をわかっていないというのだ。
不機嫌な表情で遠慮なく睨みつけてやれば、トスしていたボールを軽くこちらへ投げてきた。胸元でキャッチし、なに、と問う。

「俺はね、学校でもたくさんと喋りたい」

「待って、それだけは勘弁して」

「もうさ、いいじゃん。周囲の目なんて気にすることない」

「双子って徹が思ってる以上に目立つんだってば。今までさんざんからかわれてきたでしょ。それが嫌なの」

「私たち常に比べられるし、って本当は言いたいんだよね?」

「……はっきり言ってくれるね、ほんと、腹立つ」

「仕方ないよ。俺はバレーボールに全力で挑んでる。バレーが好きで、上達するために、勝つために、日々努力している。だから、自然と皆の目に良く映ってしまうんじゃないかな?」

徹が努力をしているのは良く知っている。外見も花丸な弟に根本的な部分を言われたら言い返す言葉がない。
私と比べたらあきらかだ。それは昔からわかっている。徹が良い意味で目立つ存在なのは当然と言える。
でも、私だってまったく努力をしていない人生を過ごしているわけではない。度合いは違えど頑張るときは頑張っているのだ。
なのに、そこまではっきり言われたら、悔しいじゃないか。

「……もう、この件は終わり。話を戻すよ。今後、徹は家族の話題を彼女にふらないこと。いい?約束だからね?」

「はあ、話がかみ合ってないなあ。だから、家族の話をして何がいけないのさ。これ聞くの二度目」

「普通に考えてみなよ。私だってもし好きな人が自分の家族の話ばかりしてきたら気分が沈むと思うな」

「す、す、すすすす好きな人……だって!?はあああ!?どこの誰だよ、そいつ!そんなの聞いてない!聞いてないよ!」

「バカ、もしもだよ、例えの話」

「どっちかバカだっての!心臓に悪いったらないよ、もう」

「まあ、そういうことだから。ちゃんと彼女の気持ちを考えてあげてね。それじゃあ」

言いたいことは言った。これ以上徹と会話をする必要もない。あのような胸に突き刺さることを言われた直後だ。一刻も早く自分の部屋へ戻ろう。
投げてきたボールを徹に手渡せば、同時に両手首を掴まれた。徹の手は分厚く大きい。双子なのに、こんなところにまで大きな差が出ている。
手を放せと言わんばかりにぶんぶん振ってやれば、まだ話は終わってないでしょ、と私の顔を細めた目で睨みつけてきた。

「彼女の話題はひとまず置いといて、俺はとの学校での関係をどうにかしたいの。ここちゃんと話合おうよ」

「だから今まで通り関わりあわないようにするって言ったでしょうが」

「だーかーら!それが限界なんだって!どうして俺の気持ちを無視するの?ひどいよね!?」

「ひどい?ひどいのは徹じゃない!さっきも、言いたいことずばずば言ってくれちゃって!」

「違う、あの話には続きがあるんだ。確かに俺が目立つのは人より何倍も努力しているからだと思う。でもそれは俺が勝手にしていることなんだ。裏を返せばバレー相手に必死になってる変態なんだよ。だからさ、は何も気負わなくていいことだと思わない?他人に双子として比べられるようなことを言われたら言い返してやればいい。弟は変態だから目立つんだって」

「もう言ってる、あいつは変態だって皆に何度も言ってる」

「な、もう言ってるんだ!?うわあ!胸がズキンとしたよ!」

俺が変態……変態変態変態、などとぶつぶつ言い出す徹は傷ついた表情をしていた。
そのような表情をしていても男前だと思う。徹の場合、努力をしている姿はもちろんだが、女子に騒ぎ立てられる一番の理由は外見からではないだろうか。

「……徹ばっかりかっこいいの、ずるい」

「へ!?き、聞こえなかったなー、もう一度言って?見上げる感じで」

「はあ、バカバカしい。今日ね、授業でバレーボールだったんだけど、トスもレシーブもろくにできなくて恥ずかしいのなんのだったよ。かっこいいなんてほど遠いよね。もうさ、なんていうか素直に徹がうらやましい」

「お、授業でバレーやってるんだ」

「うん、へったくそなバレーしてる」

「トスとレシーブねえ。よし、はい立って立って!」

「うわ、なに?ああ、引っ張らないで!」

「お風呂入る前にひと汗かいちゃお!」

何を思いついたのか、掴まれていた手首を引かれ家の玄関へと直行した。
運動靴を履くように指示を受け、適当なスニーカーを下駄箱から取り出す。
近所の公園まで軽くジョギングをし、徹は脇に抱えていたバレーボールをこちらへ軽く投げてきた。
「トスの練習からねー」と笑顔で言われ、「は?」である。

「トスの練習って……」

「いいから、ちょっとやって見せて。今のレベルを見なきゃね」

「こ、こうでいいんだよね、額の斜め上らへんで三角を作って、ああ!どっか飛んでった!」

「う、うわあ……ここまでひどいんだ。トスっていうかオーバーハンドは基本中の基本なのに」

「なに、その顔。腹立つからやめて」

「いやあ、小学生の方が上手いよ、本当に、冗談抜きで。猛にバカにされてもフォローできない」

口には出さないが、むきいいいいいい!だ。
飛んでいったボールを拾い上げ、徹から離れた場所でもう一度トスをしていたら、いつの間にか背後に立っておりボールを取り上げられた。
まずフォームからおかしいと、腰を指で突かれる。
どうしてこんなへっぴり腰になるのかと聞かれたので、知らん、と答えておいた。

「腰を曲げるんじゃなくて、ひざを曲げるの。ひざはバネになるから。まあ今はそこまで気にしなくていいか。それよりも腕、腕は大切だよ。ボールを送りだす方向へ伸ばすんだ。あと手首のスナップも意識して。指先はこう、指を閉じちゃだめ、柔らかくね、柔らかーく」

「まって、一つずつ言って。一気に言われたら覚えられないよ」

「じゃあ俺のフォームを見て。今回ひざは曲げないけど、こう、ぽーんって、ぽーん、ほら、ぽーん、よし、いくよ、トスで打ち返してね」

「へあ!?え、うわ、きた、ぽ、ぽおおおおん!」

「……ちょっと、どうすればボールが右に飛んでいくのさ。逆に不思議なんだけど」

「だって!急にトスされたらびっくりするでしょうが!」

「はあ、とりあえずレジーブの練習もしてみよっか。こっちも基本中のアンダーハンドね」

「……お願いします」

このあと二時間は練習しただろうか。徹に呆れられながら、少しは上達したものの溜め息ばかりを吐かれる始末であった。
最終的にボールを身体のどこに当ててもいいので床へ落とさず繋げる努力をすればそれでいいと結論づいたわけだが。
そろそろ帰ろうと話がまとまり道を歩いていると、徹の携帯が鳴った。彼女からの電話であった。
静かな夜道は彼女の声も聞きとることができる。どんな会話をするのかと思いきや、「別れてほしい」と告げらたのがはっきりと聞こえた。
徹は持っていたボールを地面に落とし立ち止まってしまう。ああ、彼女、決断してしまったらしい。
ほら、言わんこっちゃない。相手の気持ちも考えてあげないと、こうなるのは目に見えている。
驚いた表情を浮かばせる徹を尻目に落ちたボールを拾い上げ、会話を終えた瞬間に背中を一発叩いてやった。

「ふ、ふられちゃった……」

「うん。そうだね」

「俺いっつもふられるんだ」

「徹は悪いところが盛りだくさんだから」

「っ、ちょっとはなぐさめてよー!」

「彼女にもう一度やり直せるようにお願いしてみればいいでしょうが、全力で!」

「んー、やり直すのはいいかな。だってさ、と同じクラスの子だから付き合おうって決めただけで。の情報が得られるかなあって。でもふられるのはやっぱ辛いなあ」

「……あんた、なに気持ち悪いことサラッと言ってんの」

が俺と学校では関わりあいたくないって言い出したのが一番の元凶だよね。はあ、しばらく彼女はいっか」

「私に責任があるってこと!?自分は悪くないみたいな言い方しないでよ、徹最低、最低だ……!」

思いきり距離を開け道を歩いた。距離を詰めてきたら即座に遠ざかってやった。待ってよー、そう言いながらへらへら笑う弟の思考がわからない。
私のクラスメイトと付き合うことで情報を得ようとするなど、徹はどこまで私を気にかけているのだ。双子の姉があまりにも無能で心配なのだろうか。
そう考えると情けなくなる。もっとしっかりしないと、なんて柄にもなく目標を立てざるえないじゃないか。
まったく想像もつかないが、いつか徹に褒められるほどのことを成し遂げてみたいものだ。

翌日は雨であった。
昨日と同様に体育の授業があり、朝から体育館に集合。ただ、昨日と違うのは三クラスまとめての合同体育であること。
月に一度のみ実施されるこの授業。合同の場合、授業時間が普段の倍の時間数となる。
合同で何をするのかなあ、なんて楽に考えていたらバレーボールをすると移動中に通達を受けた。合同体育でもバレー、か。
おまけに雨なので体育館を半分に仕切り、片面に男子、もう片面に女子と結局は三クラス全員が同じ空間で授業をすることになった。
体育館へ到着すると、男子はバスケをするらしく皆が自由にシュートの練習をしていた。徹もどこかにいるはずである。奴がシュートを外す姿を見てみたいが、これだけ人数がいれば見つけるのも面倒なので男子の方は見向きもしなかった。
女子は先生の指示の元バレーボール用のネットを張り、準備体操からトスとレシーブに加えサーブの練習をすることに。アンダーサーブを教えられたが、ネットに引っかかるばかりで昨日に引き続き恥ずかしい思いをした。
基礎練習を十分にし終えたところで集合がかかった。すると先生が、今から簡単なゲームをする、と言い出し生徒たちはハテナであった。
得点板を皆の前に出す先生は、一セットのみで二十五点を先に獲ったチームが勝ちのゲームだ、などと淡々と言う。
私は心の中で絶叫した。簡単なゲームとは、ようするに試合のことだろうか!?基礎もろくにこなせていないのに、できるわけがないだろう!
信じられないと言わんばかりに先生を凝視していると、チーム分けが発表された。私を含めてクラス混合の六人チーム。
以前、一年生のときに徹と付き合っていた彼女も同じチームであり、二人で泣く泣く手を取り合った。
バレーは難しくて私には無理、そう彼女も悲痛な叫びを上げ、妙な仲間意識が生まれてしまう。わかる、その気持ち。
試合となると男子も気になるのか、バスケの手を止めて女子の方を見ている者が大勢いた。もしや徹も見ているのではないかと見渡せば、何故かコートを見ずにコート外で待機しているこちらへ手を振っている本人を発見し顔が引きつった。
目が合ったが、私に手を振っているのだろうか……。それとも以前の彼女だろうか。もしくは昨日ふられた彼女だろうか。そうだ、見なかったことにしよう。
いざゲームが始まればバレー経験者のいるチームが圧倒的に有利であった。逆に素人だらけのチームはボールを避ける者も見かけたほどだ。
ゲームは差がありながらも順調に進み、あっという間に自分たちの番がまわってきた。
いざコートに立つと緊張するなんてものじゃなかった。心臓が破裂しそうだ、しかも震えが止まらない。おまけに皆コート内を注目している。
だが、ここで緊張に負けているようではいけないだろう。気合いだ、気合いを入れるんだ、単に体育の授業だけど、きっと踏ん張りどころに違いない。
サーブは相手チームからである。
相手も素人なのか弱い弱いアンダーサーブが打ち上げられた、が見事こちらのコートへ落ちてくる予想がついた。
一番のベストポジションにいたのは、徹の元彼女だ。頑張れ、と声を出してみるものの、あわてふためく彼女の胸へとボールが当たり、むなしく床へと転がり落ちた。彼女は辛そうに皆へ謝罪をしてきたが、誰一人として責めなかった。むしろやり返してやろうと意気込む。
再び相手チームのサーブが先ほどと同じルートで飛んできた。だが、彼女はボールを上げれず二度目の失敗をしてしまった。
それが四度続いた。得点板の数字がぺらりとめくられる様を彼女は潤んだ瞳で見ているのが視界に入り、これはどうにかしなければと身体中の何かが震え立ってくる。
サーブが打たれる前に、彼女へ駆け寄り肩に手を添えた。リラックス、リラックス、と笑顔で声をかけてみる。
またしてもサーブは彼女の元へ飛んできたので、まさか素人ではなくわざとしているのではないかと思うほどであったが、そこで彼女の目つきが変わった。腰を落とし見事なレシーブの体勢で次へ繋ぐボールを上空に上げたのだ。
だが、上ではなく真後ろへ飛んでいき、ああ!と皆が思ったそのときに私は走り出していたらしい。片手を思いきり突き出す格好で落下してくるボールの真下へすべり込み、なんとか上空に打ち上げた。それを同じチームの一人がオーバーハンドで相手のコートへと返す。
やった、と歓喜に満ちながらも即座に立ち上がり次の攻撃に備えた。なんでもこいと言わんばかりに足元などがに股になっていたと思う。
相手チームが上手いこと二度ボールを繋ぎ、なんと、前衛の一人が跳んだ。バレーボールの経験者だとすぐにわかった。高い位置にあるボールを見つめた直後、何故か私と目が合った。打ってくる、直感で感じ取り恐怖が全身を走る。
ここで腰を引いてはいけない。絶対、絶対に、受けてやる!皆が後ろへ一歩引く中で私は前へ踏み出した。
案の定私の方へボールが飛んできた、が、手が出る前に顔面で受けてしまい後ろへ倒れるはめに。だが、ボールは上空へと上がった。チームの皆もこのチャンスを見逃すことなくボールを相手コートへと返しラリーが続く。顔がじんじんと痛むが構わずに立ち上がった。またしても強烈なボールを打ちこまれるかと構えていれば、フェイントをかまされ、緩やかなボールが落ち……る前に足を思いきり伸ばし相手コートへ蹴り返してやった。
昨夜、ボールを身体のどこに当ててもいいので床へ落とさず繋げる努力をすればそれでいい、そう徹が言っていたのを瞬時に思い出したのだ。
高く上がったボールは、唖然とする相手チームの頭上を通り超し床に落下する。
アウトか、そう予想していたら、「今の入ってたぞ」と岩泉くんの声が仕切られた向こう側から聞こえた。「ちょ、岩ちゃん!ここは俺に言わせてよ!」なんて声と誰かが頭のはたかれる音も聞こえたが。
得点板に私たちのチームの点数が追加される。
チームの皆が私の元へ駆け寄って来てくれて喜びあった。周囲から歓声までわいた。女子も男子も皆が今のはすごかった、面白かったと口走るほどである。先生たちも笑っていた。
驚く勢いで心臓が鳴りだし、緊張とはまったく別の意味で震えた。今、最高に楽しかった。熱かった。
つい鼻の奥がつんとしたがここで泣き出しては格好がつかないだろう。こんなときぐらいかっこいい自分でいたい。
だが、サーブ権が私たちのチームへと移り次の攻撃へ備えようとした途端、一歩を踏み出せばとてつもない痛みが足から全身に走った。
軽く悲鳴を上げればクラスメイトや先生が駆け寄ってくる展開となってしまい、額から汗がどっとあふれてくる。
ボールを足で打ち上げた際にどこかの筋を傷めたのではないかと先生が言い出した。とりあえず保健室へ行くよう指示が出たので、皆に心から謝罪し体育館をあとにした。一緒に行こうと保険係のクラスメイトが声をかけてくれたが、礼を述べながら断った。大丈夫、一人で行ける。
手すりを掴みながら階段を下り靴を履き替えていると、「かっこよかったよ、!俺、もう、泣いちゃいそうだった!くっ!」と背後から声がしたので、何故ここにいるんだと言いながら睨みつけてやった。
すると、私の脇と両足に手を滑り込ませ、ふわりと身体を抱き上げられた。

「足、やっちゃったんでしょ。大人しくしてなよ、保健室まで連れてったげるから」

「こら!誰かに見られたらどうするの!」

「かっこいい双子は仲良しなんですって皆に見せつけてやろう」

「やめて、降ろして、歩くから、お願い!」

「やだ。俺にしたらさ、は可愛い可愛い女の子で、大切な家族で、双子のお姉ちゃんなの。放っておけるわけないだろ。我慢して」

「はあ!?が、我慢できるか、このバカ徹が!きもい!」

「いっ、ぶへあ!」





厄介な弟ではあるが、私と向き合ってくれる大切な存在。
双子の関係が辛く遠ざけようとする私とは違い、徹はきちんと私と手を取り合おうとしてくれている。
わかっている。逃げていても何も進展しないと、ああ、わかっているとも。

今度、徹の試合があるときは応援に行ってもいいか私から聞いてみよう、かな。










*END*










+あとがき+
ご覧いただきまして誠にありがとうございます!
初めてのハイキューでした。しょっぱなからレッツ及川。ひい
ここ一年半以上進撃以外の作品を書いていなかったので、新鮮でした。日本の現代がものすごく新鮮でした。
ぱっと思いついたお話でして、はい、なんだかすみません。相変わらず甘くない……!
ちょっと余談です。途中に推薦入学の話を入れましたが、推薦を断り一般入試でトライしたのだとどこかで文章を入れたかったんですけど、入れることができず……(無能
この話の及川は受験勉強も頑張ったのだと覚えてあげてください。笑

ありがとうございました!